中耳炎について

中耳炎について

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▼耳は「外耳」「中耳」「内耳」の3つに分けらます。外耳で音を集め、中耳で音を伝え、内耳で音を感じます。
▼耳は小さな部屋で、中耳の圧と大気圧とがほぼ等しくなっているのが正常の状態です。その圧力の調節をしているのが「耳管」です。
▼耳管は中耳と咽頭をつないでいます。普段は閉じていますが、物を飲んだり、あくびをした時に開いて中耳に空気を送り、中耳の圧が減らないようにしています。
▼風邪や鼻の急性炎症が起きたときに、その炎症が耳管を伝わって中耳に波及し、 中耳の粘膜が炎症を起こし膿が出てくるのがいわゆる「急性中耳炎」です。

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▼症状
耳痛、耳閉感、難聴などです。小さな児の場合は痛みを訴えませんが「機嫌が悪い」「夜泣きをする」「なかなか寝ない」と言う症状が出ます。もちろん発熱もあります。
▼治療
軽症であれば薬でよくなりますが、中耳に膿がいっぱい溜っている場合は「鼓膜切開」をして中耳の膿の出口を作ってやってから治療を行います。しかし、これだけでは不充分です。中耳炎は「耳のかぜ」なので、かぜで熱があるときと同じようにしてお家で静かにすることが大事です。
▼切開した後、鼓膜には4,5日から10日ぐらいの間、孔が開いています。
▼この間に耳管や鼻・ノドの炎症が治まってしまえば、鼓膜が閉じてももう膿は溜まりません。しかし、鼻・ノド・耳管の炎症が良くなる前に孔が閉じてしまうと再び膿が溜まることになります。ですから、鼻・ノドが悪くならないようにすることが同様に大事なのです。
▼切開は治療の第1歩に過ぎません。
切開した傷の治療や、鼻・ノドの状態のチェック、薬が効いているかなどチェックしながら中耳炎が治っていくのをしばらくの間見ていかなくてはいけません。数週間治療して中耳炎が7~8割方治ったかなと思っていても、風邪を引くとすぐにまた一から出直しと言うことも珍しくはありません。
▼「切開をするとクセになるのでは?」とよく聞かれることがありますが、これは全くの誤解であることは、今までの説明でお分かりと思います。「かぜ」は誰でも年に数回はひくでしょう。では中耳炎を繰り返す人とそうでない人がいるのはなぜか?それは「-耳管の働きが良いか悪いか-」が大きく関係しています。
▼耳管の働きが悪い人は鼻・ノドの炎症が中耳に広がるのを押さえることが出来ないのです。当然、中耳炎を繰り返し、切開の回数も多くなります。中耳に膿が溜まっていると、その膿のせいで耳管の炎症もひどくなります。切開をして早く膿を出した方が中耳炎は早く治ります。
▼中耳炎にかかる患者さんの多くは副鼻腔炎(蓄膿症)を合併しています。副鼻腔炎は慢性のことが多く、すぐには治りません。このような患者さんは副鼻腔炎が治らないと、中耳炎も治ってきません。

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▼繰り返す中耳炎や慢性的に中耳に液が溜まる滲出性中耳炎の人には、鼓膜に孔をあけ、しばらくの間チューブを入れておく「鼓膜チュービング」と言う治療をすることもあります。